子供から大人までみんな大好きなバイキング。美味しそうな料理がところせましと並ぶ光景にとてもわくわくしますよね。ついつい欲張ってしまってお腹が苦しくなっちゃった…なんて経験がある人も多いのではないでしょうか。
ところで、お店では「ビュッフェ」という言葉を使ったりもしますよね。「ビュッフェ」と「バイキング」。この二つ、実は異なる意味の言葉だとご存知ですか?
バイキングは食べ放題を意味する言葉ですが、ビュッフェとは、セルフ形式や立食形式といった意味で、食べ放題とは限りません。ちょっと驚きですよね。それだけでなく、ビュッフェとバイキングは、その語源から成り立ちまで様々な違いがあるんです。
そこで今回は皆さまに、ビュッフェとバイキングの由来やマナーを簡単にご紹介したいと思います。
ビュッフェとは?
「ビュッフェ(Buffet)」とは、元々の語源はフランス語で「飾り棚」を指す言葉です。ここでいう飾り棚は扉のついた背の高いものではなく、引き出しのついた飾り台のようなものです(チェストやサイドボードをイメージしていただくと良いです)。その昔、飾り棚の上にちょっとした料理をに並べ、各々好きに取り分けて食べるスタイルのパーティーが流行しました。そこから「セルフ式の食事」「立食式の軽食」という意味を持つようになり、ビュッフェスタイルは世界中に広がったのです。
そしてビュッフェには、次の3つのスタイルが存在します。
スタンディング・ビュッフェ
いわゆる「立食パーティー」のことです。料理やドリンクを乗せたビュッフェテーブル(ビュッフェボード)を会場に設置し、参加者たちは自分が食べる分だけを各々の皿に取り分け、立食形式で愉しみます。
会場内を自由に移動して挨拶やお喋りをしたりと参加者同士で親睦を深めることに重きを置いたスタイルです。 公的なパーティーなどでもよく目にしますね。
シッティング・ビュッフェ
会場に、ビュッフェテーブルの他に数カ所、数人ずつ着席できるテーブルを設置します。参加者たちはビュッフェテーブルから自分が食べる分だけを各々の皿に取り分け、自席に座って食事を愉しみます。レストランなどで利用する場合、食べ放題と勘違いしやすいですが、食べた分だけ料金が発生することがあるので事前の確認が必要です。
オンテーブル・ビュッフェ
ある程度の人数が着席できる大テーブルの真ん中に、予め数種類の料理が用意されており、各自で自由に取り分けて食事を愉しみます。中華テーブルというとイメージしやすいかもしれませんね。
お店へ行って楽しむイメージの強いビュッフェですが、最近ではケータリングサービスなどを利用することで、会社の会議室や貸しパーティールームなどを、ビュッフェ会場にして楽しむことも可能です。職場のイベントや懇親会、同窓会などで気軽に利用してみてはいかがでしょうか。
バイキングとは?
実は「バイキング(Viking)」は和製英語で、海外では通じません。英語で食べ放題は、「All-you-can-eat」などと言います。では、なぜ日本では「バイキング」という言葉が使われるようになったのでしょう。そこには、こんな歴史がありました。
1957(昭和32)年。当時の帝国ホテル社長・犬丸徹三氏は新館設立の目玉として、何か新しいサービスがないか日々模索していました。そんな中、旅先のデンマークで「スモーガスボード」という料理に出会います。スモーガスボードというのは、北欧式のビュッフェスタイルのこと。
「好きな料理を好きなだけ食べる。こんなに幸せなシステムが日本でうけないわけがない!」
そう予想した犬丸社長は、日本に戻ると早速準備に取り掛かります。ここでちょっとした問題が。この「スモーガスボード」という言葉、少しばかり言いにくい…。そこで社内で名称を募集することにしました。
その当時、日本では北欧の海賊を描いた映画、「バイキング」が大ヒット中。映画内ではバイキングがテーブルに大量の食事を乗せて、豪快に食事を取る姿がありました。このシーンが「スモーガスボード」の印象と見事にマッチ。さらに同じ北欧が舞台ということもあって、新名称は「バイキング」に決定しました。さらにメニュー内容も日本人に合わせて改良重ね、1958年8月1日、満を持して食べ放題レストラン「バイキング」をホテル内にオープンさせたのです。
犬丸社長が予想した通り、このサービスは大ヒット。さらに真似をする飲食店も続々と出てきて、「バイキング」は瞬く間に日本中に浸透していきました。
みんなが楽しく食事をするために
好きな料理を自由に取って食べるのはビュッフェやバイキングの醍醐味ですが、スマートに食事を楽しむためにも、マナーを守ることは大切ですよね。ここからはビュッフェとバイキングの基本的なマナーをいくつかご紹介します。
列を乱さないようにする
欲しい料理があるからといって、前に並んでいる人の間に割って入るのは避けた方が良いです。落ち着いて、順番を守りましょう。反対に、同じ場所で長く留かまってしまうと後ろの人がつかえてしまいます。美味しそうな料理が沢山あって迷ってしまいがちですが、後ろの人のためにも、なるべく列の流れを妨げないようにしましょう。
料理を独り占めするのはNG
いくら好きなだけ食べられると言っても、大皿の料理を1人でたくさんとってしまうと、他の人に行き渡らなくなってしまいます。同じ料理を食べたい時は、一度にたくさん取るのではなく、少量ずつ、数回に分けてお代わりをするようにしましょう。何度もお代わりのために席を立つのはマナー違反ではありません。
次の人が取りやすいよう気配りを
バイキングやビュッフェでは、大皿に盛り付けられた料理を、たくさんの人でシェアします。そのため、大皿の上を散らしたり、料理を取るためのトングの持ち手が汚れた状態で戻したりしてはいけません。トングや取り箸は専用の置き場所に戻したりして、持ち手が汚れないよう気を付けましょう。また、料理を取る際に、左から取ったり、重なっている料理は上から取ったりすると、大皿の盛り付けが崩れず、次の人が取りやすくなります。
食べられる量だけを取る
色々な料理が並んでいると、ついあれもこれもとたくさんお皿に載せたくなってしまいます。でも、取った料理を残してしまうのはを残すのはマナー違反。また、親切心や、美味しいと思ったものをシェアしたいという気持ちから、同席している人の分まで取ってあげたくなりますよね。でも、ビュッフェでは自分が食べたいものを、自分の分だけ取るのがマナーです。相手の方の分まで取ってしまうと、その人の好みに合わなかったり、量が多すぎて食べ切れなかったりしてしまいます。自分が食べる分を、食べ切れる分だけ調整して取るようにしましょう。
きれいなお皿に、きれいに盛り付け
汚れたお皿やカトラリーはスタッフにお願いして下げてもらうか、下げる場所があればそこに置き、新しいものを使うようにしましょう。ケータリングサービスなどを利用した、ビュッフェパーティーでも、お皿などの備品は余分に用意されていることがあります。汚れたお皿を使い回すよりも、きれいなお皿に盛り付けた方がその料理本来の美味しさを愉しめますね。料理を完璧な状態で堪能することも、お店に対してのマナーです。
そして、一枚のお皿にたくさんの料理をごちゃごちゃと載せてしまってはスマートではありません。見た目が悪いと、周囲の人の食欲もダウンしてしまいますし、せっかくきれいなお皿を使う意味がなくなってしまいます。料理を取るときは、2〜3種類程度を少しずつきれいにお皿に載せると良いでしょう。
まとめ
今回はビュッフェとバイキングの違いやマナーをご紹介しました。いかがでしたでしょうか?普段、何気なく使っているビュッフェやバイキングという言葉にも、実はたくさんの違いや歴史があることがわかりました。違いマナーを知ることで、さらに気持ちよく食事を楽しみたいですね。
家族や友人、恋人との食事で、ビュッフェやバイキングを利用したり、同窓会や職場でケータリングサービスを利用してのビュッフェパーティーに参加することもあると思います。そんな時に、頭の隅にちらりとでも、このコラムを思い浮かべて頂けましたら幸いです。